梶尾真治/サラマンダー殲滅

2026年2月2日

かなり大昔に一度読んだ本。しかし実を言うと、読みかけて途中でやめてしまった本でもある。理由は覚えていない。
調べてみると1990年に初出。私が読みかけたのは、その2年後に出版されたソノラマノベルスではないかと推測される。
ただ詰まらなくて挫折したわけではない。導入部だけでも、十分に面白かった覚えがある。
自宅の本棚にあった記憶はないので、多分図書館などで借りてきた読んだのだろう。
多分、読み終わる前に何らかの理由で返却期限が来てしまい、泣く泣く手放したに相違ない。

この度、2018年に徳間文庫から再出版された本書を、30年以上の時を経てリベンジをすることにした。
序盤のシーン、例えば主人公の女性が左手だけで地を這いながら復讐の相手に向かっていく場面とか、全裸のまま灼熱の大地に立ち続ける場面をなんとなく覚えているが、とにかく面白い。
SF小説の何がいいかって、架空の世界を描いているので、他の古典小説にありがちな古さを感じにくいというところだろう。
この小説、上下巻に分かれていてかなり長いのだが、かなり没入度が高くあっという間に読めてしまう。

上下巻に分かれていると述べたが、章立てとしては3部構成となっている。第2部が最も長く、上下巻双方にまたがっているわけだが、その第2部のラスト。絶体絶命のピンチを、間一髪で切り抜けるという、怒涛の盛り上がり。あまりの素晴らしさに涙が止まらなかった。なんだこの展開、最高過ぎるだろ。
男は、こういうカッコ良さに泣くんだよ。悲しくて泣くんじゃない、感動して泣くのとも少し違う。とにかく全ての登場キャラクターが愛おしくてたまらない。

ラストも、なかなかの盛り上がりを見せる。
最終決戦に挑む直前の仲間たちの会話が、こちら読み手が赤面してしまうほど死亡フラグ満載なのが、やや時代を感じるところか。
ついでに思いっきりネタバレしてしまうが、この怒涛の死亡フラグは、かなりの高確率で回収される。
しかし、最初っから『この戦いが終わったら結婚しよう』という最大級の死亡フラグを立てた二人だけは、なぜか生き残る。
やや苦い読後感が残るのだが、これがこの作者の持ち味らしい。
今更ながら調べてみたら日本SF大賞受賞作らしいが、確かにこれは傑作と言えるだろう。

しかし、一つ非常に残念なことがあった。
上下巻に分かれていると述べたが、それぞれ巻末に解説文が載っている。
上巻は田中芳樹が解説文を書いているのだが、なんとそこに下巻のネタバレが含まれているのだ。
これは酷すぎる。
田中芳樹というか、徳間文庫の編集が悪い。この解説のおかげで、はなはだしく読者の興をそぐことは否定できない。
下巻の北上次郎の解説のほうは、ほとんどネタバレを含んでいなので、少なくともこの解説文は逆にすべきだろう。
これから読む方は、解説文は上下巻とも、全部読んだ後に触れるべきであることを心にとめていただきたい。

サラマンダー殲滅 上 (徳間文庫)
サラマンダー殲滅 下 (徳間文庫)

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