宮島未奈/成瀬は都を駆け抜ける

2026年2月2日

今更語るまでもなく有名な成瀬シリーズの第3作を読んだ。前2作はもちろん既読。
2作目の成瀬は信じた道をいくが、いい終わり方をしていただけに、勝手に2作で終了だと思っていた。
ひょっとすると、この3作目は人気にあやかって無理やりに執筆した、蛇足的な作品かも知れない。
そんなふうに身構えて読んだのだが・・・
安定の面白さだった。

正直1作目のようなインパクトは薄い。
初っ端の高校デビューが丸坊主で入学式のような、思わず声を出して笑ってしまうような場面は抑え気味で、どちらかというと感動系の話が多くなっている印象。

主人公の成瀬あかりとその家族以外は、過去のキャラクターは最終章まではほとんど登場しない。
舞台が京都大学ということもあり、新キャラクターが登場する。坪井さんとか、youtuberとか、達磨研究会の面々とか、非常に魅力的なことは間違いない。
最終章になって、ようやく島崎さんや、1、2作に登場したほぼ全てのキャラクターが最終章に出てくる。
これは大団円に相応しい大サービス。確かにこれは完結そのものと言える。
これで完結とのことだが、ひょっとするとスピンオフなど、まだまだ派生していく可能性がありそう。

ところで、圧倒的な主人公という本シリーズのコピーのとおり、個性的でトリッキーな人物を主人公とする場合、本人目線ではなく、周辺の第三者目線で語るというのが鉄則である。
例えば、ホームズに対するワトソンのようなもの。この成瀬シリーズがよく比較される涼宮ハルヒは、キョンという別の語り手がちゃんと存在する。ある意味突っ込み役のような。
この成瀬シリーズでも、もちろん第三者の語り手がいるのだが、1作目のラストで何と本人目線になるという、掟破りの手法が用いられていた。
確かに斬新ではあったが、ここは評価の分かれるところ。
ところが2作目でその手法は封印。結局この3作目も最後まで第3者目線だった。個人的には、最後に主人公目線の章があっても良かったかも。

全くの余談であるが、関東住みだからよく知らなかったけど、膳所京都って随分と近いらしい。
乗換案内で調べたら、たった3駅12分。
これは通勤圏内どころか、いつでも遊びに行ける日常の行動範囲である。

非常にローカル色が強いシリーズではあるが、M-1紅白のけん玉、そして今回は森見登美彦を知っていれば十分楽しめるのではなかろうか。

成瀬は都を駆け抜ける (「成瀬」シリーズ)

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