松下龍之介/一次元の挿し木
昨年から非常に話題になっている本。
タイトルは知っていたが、その話題を極力見ないように避けていたので、ほぼ内容を知らずに読み始めることができた。結論としては噂通り面白かった。
まず、二百年前の人骨と4年前に行方不明となった少女のDNAと一致するという、こんな大風呂敷をいきなり広げて大丈夫か?という謎が提示される。
最初にとんでもない謎が出てくるという意味では、最近読んだ本だと山口未桜/禁忌の子を彷彿とさせる。
しかし同時に、ここで多くの読者が「ということは、こういうことなのでは?」と朧気にカラクリを予測できてしまうのも確か。SF映画とかでさんざんネタになってるし。まあネタバレを恐れずに一言に煎じ詰めれば、要するにクローンということだ。(挿し木がクローンのことを示すのは知らなかった)
ミステリーを読む際に自分でも推理しながら楽しむ、という読書スタイルは個人的には好きではない。ストーリーが詰まらなくなる恐れがあるし。
だから読書中はできるだけトリックなどは考えないようにしているのだが、しかしこの小説は少しばかり先が読めてしまう箇所があった。
例えば終盤の、とある衝撃の再会シーンも、前振りがあるせいか何となく予想できる。
宝島社文庫のこのミステリーがすごい!の大賞はとれなかったが、それに準ずる大賞文庫グランプリ受賞作ということらしい。
広義では確かにミステリーだが、次々と起こる殺人の犯人は最初から分かっているし、そちらの謎ときには力点を置いていない。
むしろホラー小説に近いのではないかと思う。
特に中盤で、全てが主人公の妄想ではないかという疑惑が最大限に広がったタイミングで、とある人物が6年も前に死んでいたと告げられる場面。ここは全く予想できず、解説にも書かれていたが、本当に肝が冷える思いをした。
ところで冒頭の舞台となる、インド・ヒマラヤに実在するループクンド湖。
興味深い場所ではあるが、流石に聖地巡礼ブームとなることはないだろう。呪われそうだし。








