米澤穂信/黒牢城(映画公開予定)

黒沢清監督の映画化作品が近日公開予定なので、勝手に映画の内容を予想してみる。
有名な小説なので今更内容を書くのもなんだが、読んだのは話題になってた頃より少し後。3、4年前だと思う。
時代小説でミステリーと言えば、普通はいわゆる捕物帳ものだが、これははるかに重厚な歴史小説。非常に読み応えのある小説だった。
歴史好きであればだれもが知っている有名なエピソード、織田信長に謀反を起こした荒木村重が、有岡城に立てこもる約1年間が舞台。
使者としてやってきた小寺(黒田)官兵衛を地下牢に監禁するという序章。
そして複数の怪事件とその解決編を挟み、終章では荒木村重が脱出して以降の有岡城と各登場人物のその後が描かれる。
真ん中にあるミステリー部分は4つの章から成り、あたかも短編小説集のようになっている。
いずれの事件でも村重自身が謎を解こうと奮闘するのだが、最終的には肝となるのは官兵衛の助言。
官兵衛は、ずっと牢につながれた状態なので、現場を見ることもできない。
さしずめ安楽椅子探偵のポジションではあるが、明快な謎解ではなく、あくまでアドバイスする立場にとどまっている。
さらに小説全体として、臣下の誰が織田方に通じているのかという大きなミステリー要素もあるのが面白い。

ただ正直ミステリーとしては、それほどの出来でもない。悪くはないが普通。
むしろ、主人公である荒木村重を中心とした会話と心理描写が面白い。
例えば、何度も行われる軍議で、次第に城主である村重が追い詰められていく駆け引きの場面。幾度も繰り返される、地下牢での官兵衛との息詰まる会話。そして、妻である千代保(別名だし)との会話。
これら場面を、映画で全ての再現するのは不可能であろう。

むしろ映画に期待したいのは、個人的には以下のポイント。
・地下牢につながれた人物が主人公にアドバイスすると言えば、誰もが思い浮かべるのは羊たちの沈黙レクター博士だろう。いかに被らず新しいキャラクターを構築するか。その人物造形に期待したい。
・第二章での首実検のシーン。特に首入れ替わりはホラー要素満点ジャンプスケアに期待大。
・ラスト近くの千代保の処刑シーン。見せ場なので是非とも時間を取ってじっくり見せて欲しい。
五本鑓のキャラクター。名前が似ていることもあって、小説だと今一つ個々の魅力が伝わりにくい。映画ならではの特徴的な描き分けに期待したい。
・重要アイテムとなる茶壷の寅申。果たしてどれほどの名品だったのか。当然映画では見せてくれるだろう。
官兵衛の息子松寿丸が、竹中半兵衛の機転によって生きながらえたというエピソードは史実。再会の場面はもちろん感動的に描いてくれるはず。

2026年6月19日映画公開予定

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