高野和明/13階段

最近はもっぱら小説は電子書籍で読むことが多くなった。
嵩張らないという絶対的な利点はあるものの、目に悪影響とか欠点もあるのは事実。
しかし電子書籍最大の問題は、未だ電子化されていない本がたくさんあるということだろう。

そんな電子化されない作家の代表格の一人だった高野和明だが、2025年11月以降次々と電子書籍が解禁となった。
このニュースは、自分としては歓喜の限り。
ということで、今更すぎるきらいはあるが、未読だった本作、13階段を読んでみた。

結論から言うと、流石に有名作だけあってミステリーとして文句なく面白い。
複数の登場人物、死刑囚、保釈された殺人犯、刑務官、検察官と、視点が頻繁に移り変わる展開は最初は戸惑うが、どんどん引き込まれていく。
終盤には、主人公の少年が犯人か?と信じられないような展開になり、悪夢を見せられているのかという気分にもなったが、最終的には、アクションバトルとなった末に、ギリギリ安寧な結末に落ち着く。
若干設定や、最後の死闘がゴチャゴチャしている感はある。

しかしこの本の一番の読みどころは、死刑制度に関連した知識を得られることにあると思う。
昨今も殺人事件の判決のニュースは頻繁に目にするが、何でこの凶悪な殺人犯は極刑じゃないのか?とか、死刑判決を受けてから何年も経っても執行されないのは何故?だとか、日ごろ誰もが感じている素朴な疑問へのヒントとなる記述がある。
実際の死刑執行シーンは、以前読んだ制度反対の立場から書かれた本(本作の参考文献の一つに上がっていた大塚公子の死刑執行人の苦悩)よりも、はるかにリアルで生々しく、恐ろしいものだった。
13階段は、死刑台に上がるときの階段であるという話は聞いたことはあるが、実際は刑場にそのような階段はないらしい。
しかし、検察官が死刑執行を起案し、最終的に法務大臣が承認の印鑑を押すまでのステップが、奇しくも13段階あるという。
また刑罰の目的について、応報と教育があり、日本では更生を目的とした教育に主眼が置かれていることは何となく予想していたが、欧米ではむしろ応報が主目的になっているという記述があったのには驚いた。

余談だが、巻末の宮部みゆきの解説が面白かった。
原作が面白いのに、何故か映画化されると駄作になってしまうというよくある現象。
その最大の被害者だと思っていた宮部みゆきが、まさにこの13階段の映画版をやんわりと批判しているのだ。
やっぱり自分の作品の映画版にも、不満を抱いているのだろうか。

13階段の映画本編は見てないし今後も見る気もないが、一部(死刑執行シーン)をちらっとYoutubeで見てみた。うん、確かにこれはダメだ。
なんで死刑囚を名前で呼んでるんだよ。番号で呼べよ。原作の良さを台無しにすること甚だしい。

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